聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『もちろんさ! ボクはセロンの、騎士だからね!』
「大丈夫、だって……」

 だが――どれほど獣が問題ないと口にしたところで、人間に彼の言葉は理解できないのだ。
 いくらでも天使が真逆の主張に変換し、都合のいいように己へ事実を歪曲して伝えられると考えたのだろう。
 彼は頑なに、セロンの願いを拒絶する。

「俺は心配だ。ここにいるほうが……」
「クロディオ、言った。そばにいろって」
「それは、そうだが……」
「あなたが命を賭して、みんなのために戦うなら……。わたしも、支援する」
「決意は、固いようだな」
「ん。やっぱり、駄目?」

 クロディオは最後まで迷う素振りを見せたが、これほど頑なに自身の意思を貫こうとしている最愛の人を拒絶するのは違うと考えたようだ。
 彼は苦虫を噛み潰したような表情とともに低い声で、ぽつりと呟く。

「これでは聖女天使を独占して捕らえる、神殿と同じだな……」

 彼は渋々、譲歩した。

「――約束してくれ。ペガサスか、俺。必ず、どちらかの目が届く場所にいると」
「わかった。約束」

 こうして指を絡め合った2人は、彼が戦場で大剣を振り回す時も――何があっても……そばにいると、誓いあった。
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