聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「辺境伯! 危険です!」
「無茶ですよ! 撤退しましょう!」
「いや。まだやれる」

 彼は部下にこれ以上の無茶はやめてくれと懇願されても、けして剣を振るうのを止めない。
 何度倒れたとしても、目の前にいる敵すべてを打ち取るまで、けして屈することなく立ち向かう。
 その精神は、簡単に真似できることではなかった。

(ああいう素振りが……。わたしが彼に、興味を持った理由)

 たとえ神馬がそれに難色を示していたとしても――セロンは誇らしいと思うことはあっても、獣と同じように呆れの色を見せる様子はない。
 むしろ恍惚とした表情を見せるくらいだった。

『身体はとっくに限界を迎えているのに、涼しい顔で大剣を振るい続けている。どう考えたって、異常だよ』

 ペガサスの呆れた声を耳にしたセロンは慌てて胸元で両手を組むと、祝詞を紡ぐ。

「フォルツァ・コンソラーレ。天使の祝福を、あなたに」

 天使を起点として天から光が降り注げば、パロニード辺境伯騎士団の面々は士気を高める。
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