聖女天使を苦しめた国に、天罰を

 残忍酷薄な辺境伯の胸へ愛おしそうに抱きしめられた聖女天使の話は、パロニード騎士団の団員を中心にして――あっという間に領地内へ蔓延した。

「誰もが見惚れるほど可憐な少女だ。誰だって好意をいだくに決まっている」
「彼女が天からペガサスとともに舞い降りた瞬間に見せる、団長の表情と言ったら……!」
「あんな姿を見たのは、前辺境伯がご存命であった時以来だ!」
「クロディオ様も、笑うんだな……」

 パロニード騎士団の面々は最初のうちこそ物珍しそうな視線を2人に向けていたが、回数を重ねるうちに考えを改めたらしい。

「辺境伯が温厚になったのは、この地に舞い降りた聖女天使のおかげだ!」
「彼女だけは、何があってもお守りしなければ……!」
「ルユメール王国になど、負けて溜まるか!」

 ――セロンの出現は彼らの士気を高め、休息日にも率先して自主練習に取り組むようになった。

「騎士達のやる気が高まったのは、セロンのおかげだ。ありがとう」

 これにはクロディオも、驚きを隠せなかったようだ。
 お礼を告げた彼は、天使により一層優しい視線を向けた。
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