聖女天使を苦しめた国に、天罰を
6・今さら縋りついたって、もう遅い

聖女天使にこだわる理由(フラティウス)

『よく目に、焼きつけなさい。彼女達が、聖女天使だ』

 帝王学の一環として、幼いフラティウスは父親とともに神殿へ脚を踏み入れた。

 ――そこで目にした光景は、生涯忘れない。

 背中に翼を生やした少女達は身を寄せ合い、少年に怯えた表情を見せた。

『とっても、綺麗……』

 この世のものとは思えぬ輝きを放つ少女達の姿を目にしたフラティウスは、それらに釘づけとなる。

(こんなところに閉じ込められているのは、かわいそうだ。解放してあげないと……)

 幼いながらに叶わぬ願いをいだくと、それを実現するためだけに生きると誓う。
 そうして、己の願望を嬉々として語り始めるようになった。

『僕は聖女天使が、大空を自由に羽ばたくところがみたいんだ』

 彼の願望を耳にした親友の態度は、芳しくない。
 クロディオは口を開けばいつだって夢物語ばかりを語るフラティウスに、苛立ちを隠しきれなかったようだ。

『付き合ってられん……』

 やがて辺境伯令息は、王太子と距離を置くようになった。
< 167 / 245 >

この作品をシェア

pagetop