聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「セロン様! 旦那様を起こすの、手伝ってくれませんか!?」
「ん……。どう、すれば……。いい……?」
「熱い抱擁が駄目なら、聖女天使のキスを……」
「わかった……」
「へ!? 今のは、冗談――」

 侍女もまさか、セロンが真に受けるなど思いもしなかったのだろう。
 慌てて先程の言葉を撤回したが、一度動き出した天使は止まれない。

(唇を触れ合わせるのは、全部終わったあと。そう、約束した。でも……)

 いつ終わるかわからぬルユメール王国との戦争を待ちきれなかったセロンは、もぞもぞと小さな身体を動かす。
 その後、彼の頬を両手で掴み、唇を重ねようとして――。

「ふぐぐ……」

 その口を、大きな指先で覆われてしまった。
 くぐもった声を出しながら目を丸くするセロンは、彼と視線を交わらせる。
 そして、クロディオと口づけを交わし合うのを諦めた。
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