聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「あれだけ大声で、騒がれたら……。どれほど疲れていたとしても、眠ってなどいられん……」
「ぷは……っ。クロディオ……! おはよ……」
「ああ。おはよう。ここは、まだ駄目だと言ったはずだが?」
「待ちきれなくて……」
「俺だけの聖女天使がかわいすぎるのも、問題だな……」

 セロンの唇を塞いでいた手を離した彼は、天使の銀髪を手櫛で梳きながら優しく瞳を和らげた。
 その姿は、残忍酷薄な辺境伯と呼ばれていたのが嘘のように穏やかだ。

「クロディオの、穏やかな表情……。至近距離で、見られるの。わたし、だけ?」
「ああ。俺の顔なんか見たって、面白くないだろうが……」
「うんん。特別って、感じ。する。想いを通じ合わせた、証拠……。ここ、ぽかぽか、あったかい。これが、幸せ……?」
「そうかもしれない」

 2人は口元を綻ばせて微笑み合うと、ベッドから身体を起こす。

「朝っぱらからいちゃついている暇は、ないはずなんですけどねぇ……。ご馳走様です!」
『クロディオとの仲を認めたのは、失敗だったかもしれないな……』

 呆れの色を隠せないルセメルと、ペガサスの声を聞きながら。
 天使は当然のようにクロディオの膝上に跨り、朝食を楽しむ。
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