聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「セロン様! 旦那様! 朝ですよー! 起きてくださーい!」
お玉とフライパンを手に持った侍女が、カンカンと耳障りな音を響かせてベッドに横たわる2人を叩き起こす。
(珍しい……。今日は、お寝坊さん……?)
ゆっくりと瞳を開いた天使は、クロディオがいるのに驚きを隠せなかった。
彼はいつも、セロンよりも早く目覚め――真っ先に寝台を出ていくからだ。
(わたしと、想い。通じ合わせて……。信頼してくれた、証……?)
彼の胸元に身を寄せたセロンは、嬉しくて仕方がない。
そばにいるのをいいことに、愛する人ぬくもりを堪能しながら口元を綻ばせた。
「うーん。旦那様が、これほど深い眠りにつくなんて……。どうしましょう……?」
『ボクが、叩き起こしてあげようか?』
「ペガサスは、駄目……。クロディオ、傷つける……」
ルセメルの隣にいた神馬がやる気満々の様子を見せれば、セロンはそれに待ったをかける。
その声を耳にした侍女は、大声で天使に助けを求めた。