聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「あれは……」

 窓の外では翼をはためかせた聖女天使の大群が、天界に向かって羽ばたいている。

(野良聖女天使、珍しい存在。束になって羽ばたけるほど、聖女天使を集めていた国……。ルユメールだけ……)

 彼女達がどこからやってきたのかを瞬時に悟ったセロンは、切羽詰まった様子で最愛の人に命じた。

「どうした」
「クロディオ……! 窓、開けて!」

 愛するセロンが声を荒らげるなど、始めてのことだ。
 彼は困惑の色を隠せぬ様子を見せていた。

「何が……」
「早く……っ!」

 しかし、天使に促されてただ事ではないと異変を察知したのだろう。
 彼は少女の細い身体を抱き上げ、重い腰を上げた。

『ボクは、様子を見てくるよ!』
「あ、待って! わたしも……っ!」

 クロディオが窓の施錠を解除して開け放てば、純白の翼をはためかせてペガサスが大空へ羽ばたく。
 神馬のテレパシーは人間に聞こえないようだが、聖女天使達とは意思疎通が可能だ。
 なぜ少女達が集団で浮遊しているのかは、すぐにわかるはずだ。
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