聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「うん。わたし、存在しないことに、なっている……。混乱、させたくなかった。ごめんなさい……」
「いや。君から直接説明を受けなくとも、ある程度予想していた展開だ。責任を感じる必要などない」
「そう……?」
「ああ」

 怒られると怯えていたせいで、不安そうに瞳を揺らしていたが……。
 彼の肯定を受けて、ほっと胸を撫で下ろす。

(よかった……。クロディオ……。優しいままだ……)

 ピリピリとしていた2人の空気感が穏やかなものへと変化して、セロンが肩の力を抜いた時のことだった。
 聖女天使の事情を聞きに行っていたはずのペガサスが、勢いよく純白の翼を広げて戻ってくる。

『セロン! みんなから、事情を聞いてきたよ! 君の妹が、彼女達を解放したそうだ! ルイザは、君に会いたがっているって!』

 神馬は先程男性がクロディオに報告した内容とほとんど同じ言葉を口にすると、天使を外へ連れ出そうとする。

「こちらの準備は、万全とは言えんが……。あちらにとってもこの展開は、予想外だろう。神殿の対応に追われている今、奴らは隙だらけだ」

 そんなペガサスと最愛の少女を視界に捉えたクロディオはどこか遠くを見つめ、金色の瞳に残忍酷薄な辺境伯と謳われる剣呑な表情を覗かせた。
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