聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「攻撃する気配、なければ……。地上に降りても、いい?」
「もちろん」
「ん……。じゃあ、約束。守る。わたし、いい子。だから……」

 背中へ純白の翼を生やした天使は優しく口元を綻ばせると、ペガサスとともに上空へと舞い上がる。
 セロンの姿が完全に地上から見えなくなったのを確認した彼は、国境の間まで歩みを進め――そうして、声をかけた。

「ルイザ・バズドント。君は一体、何を目的としてセロンの名を呼ぶ?」
「そんなの、決まっているでしょ!? あの女を始末するためよ!」
「俺の愛する聖女天使を、加害したいと望むとは……。貴様、命が惜しくないようだな」
「ええ! あたしが死んであの子をどうにかできるなら、いくらでも差し出すわ!」

 憎悪に全身を支配されたルイザは、まさかセロンが上空でペガサスと一緒にすべてを見守っているなど思ってもみない。
 妹はまるで自分が悲劇のヒロインにでもなったかのように、自らが置かれた最悪の状況を説明し始めた。
< 216 / 245 >

この作品をシェア

pagetop