聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「やっと幸せになれると、思ったのに! 婚約破棄されたかと思えば、聖女天使に間違えられて神殿に閉じ込められる!? 冗談じゃないわ! あたしは人間よ! あの子から、殿下を奪うために嘘をついただけ……!」
「それが、セロンを傷つける理由になるとは到底思えないが」
「話はまだ終わってないわ! よく、聞きなさい! 殿下は、セロンを忘れられないの! こんなに可憐で、美しく、誇り高い花であるあたしよりも……! 愛しているんですって!」

 愛する天使以外の女性になど興味を持てないクロディオにとってはルイザが何を考え、フラティウスがセロンを求めるのかなど、心底どうでもいい話だった。

「自国で、彼がなんて呼ばれているか知ってる? 聖女天使狂いの王太子よ!? 人間のあたしは、何があっても絶対、好きになってもらえない……!」
「そうだろうな」
「だから! あの女よりも美しく、可憐で、清らかな聖女天使を見れば……! 殿下も態度を変えると、思ったのよ!」

 辺境伯は適当に相槌を打ちながら、不愉快そうに眉を顰めている。
 上空でその様子をペガサスとともに観察していたセロンは、いつ彼が妹に刃を向けるかと気が気ではなかった。
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