聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「わたしの同胞、救い出してくれて、ありがとう」
「か、勘違いしないでよね! これはあたしが幸せになるために、やったの! あんたに感謝される筋合い、ないんだから……!」

 天使は最短で姉妹喧嘩を終わらせるべく、まずはルイザにお礼を言う。

(たとえ、啀み合っていたとしても……)

 ルイザのおかげで同胞が助け出されたのは事実であったからだ。

(これは、軽い牽制。わたしの言いたいこと、まだある……)

 まんざらでもなさそうな様子で胸を張る妹の姿を無表情で観察していたセロンは、桃色の瞳に憎悪を滲ませて本題を告げた。

「でも――これとそれ、話は別。わたしの大切な人、馬鹿にした。ルイザ、許さない……」
「な……っ! あんたに、何ができるっていうのよ!? 聖なる加護と、背中から翼を生やすしか能のないくせに!」
「――そう。わたし、無力。でも……。強い気持ち。誰かに牙を剥く、力になる」

 セロンは胸元で両手を組むと、ゆっくりと深呼吸をする。

(大丈夫……。落ち着いて……)

 これから自分がやろうとしていることが、完璧に実現できる保証はない。
 練習をする暇など、天使には存在しなかったからだ。
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