聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「さよなら。わたしの、初恋……」

 同胞と愛する辺境伯の力を借りて復讐を成功させたセロンは、背中に生やした翼を消失させた。

「セロン。大丈夫か」
「ん。平気……。初めて、自分に加護……。使ったからか……。ちょっと、疲れただけ……」

 先程までの剣呑な表情と低い声はどこへやら。
 心配そうに目元を緩めたクロディオが、最愛の天使に優しく語りかける。
 そんな彼に身体を預けたセロンは、うとうとと船を漕ぎ始めた。
 しかし、セロンが気持ちよさそうに彼の腕で眠ることはない。

「あなたが、ペガサスの言っていた野良天使?」

 ――上空から声をかけられたからだ。
 セロンは同胞を前にして、勢いよく目を瞬かせた。

「ん……。初め、まして。わたし、セロン……」
「挨拶はいいわ。人間の男に無抵抗で抱きしめられる天使となんて、話が合いそうにないから」

 クロディオに向けて忌々しいと言わんばかりの視線を向けた同胞は、胸元で両手を組み――セロンに勝ち気な表情で告げる。
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