聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「セロン。俺達は戦いを終えた。そろそろ、君からの褒美を受け取りたいのだが……」
「ん。いいよ。わたしの全部。あなたに、あげる……」

 彼の提案を受けたセロンは、唇に優しく口づける。
 初めての接吻は甘酸っぱくて、ほんのりと暖かな気持ちに包まれた。

(クロディオを好きになって、本当によかった……)

 天使がほっとした様子で幸福感に包まれていれば、セロンの後方に、大きな影が差す。
 クロディオが露骨に顔を顰めた時点で、それが誰かは振り返らなくともすぐに分かる。

「お熱いことで」

 2人のいちゃつく様子を空から見ていた同胞はやれやれと肩を竦めると、呆れたような声をかけた。

「この様子じゃ、私達と一緒に暮らすのは無理そうね」
「ん……。ごめん、なさい……」
「別にいいわよ。天界で、人間に会いたいって泣かれても困るもの」

 勝ち気な天使少女に向かって天界への誘いを断った以上、話はこれで終わりだ。
 彼女はさっさと大空へ羽ばたいていくはずなのに――いつまで経っても、ここにいる。

(どうして……?)

 セロンはそれを、不思議に思っていたが――。
 すぐさまその理由に気づく。
 ここにはもう一匹、決断を迫られているものがいるのだと。
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