聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「愛に飢えている旦那様を救えるのは、セロン様だけです!」

 そんなセロンのいだいた気持ちを後押しするように、嬉々として声を上げたルセメルは夢物語のような願望を口にする。

「聖女天使の献身によって、花が綻ぶように心優しくなる旦那様……! きっと、とっても素敵な光景になるはず……!」

 テンションのあがった侍女は少女の髪から手を離すと、胸元を叩いて人当たりのいい笑みを浮かべた。

「僭越ながら。この私、ルセメルが! お2人が仲良くなれるよう、お手伝いさせていただきます! なーんでも、相談してくださいね!」

 セロンが無言でじっとしているのをいいことに、ペラペラと口を動かしてマシンガントークを続けるルセメルには困ってしまう。

(この子と、一緒に……。これから、暮らすの……?)

 静かな場所で1人、ずっと本を読んで暇を潰していたせいか。
 四六時中知らない女性と2人きりで過ごすなど、セロンには考えられなかった。

(あの人のこと、少しだけ……。教えてもらえたのは、嬉しかった……。でも……)

 明るく元気なルセメルは、満面の笑みを浮かべて身支度を終えた天使を見つめている。
 そんな侍女から視線を逸らしたセロンは、物憂げな表情とともに視線を落とした。
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