甘えたがりのランチタイム
* * * *
茉莉花はパソコンと睨めっこをしていた。正樹との約束があるため、早く仕事を終わらせたいという気持ちと、マイナスの考えを頭から追い出してしまいたい気持ちの狭間にいた茉莉花は、とにかく仕事に集中していたかった。
あと少しーーそう思った時、誰かの手が頭をの上に載せられる感触がする。ぞくぞくっと体に震えが走り、驚いて顔を上げると、そこには茉莉花を見下ろす裕翔の姿があった。
「えっ、風見くん? どうしたの?」
「忘れたの? 今日のお昼は一緒に食べようって約束したじゃない」
そう言われて急いで時計を見ると、すでに昼休憩が始まっている。隣に羽美の姿はなく、オフィスには茉莉花一人になっていた。
朝の時点で羽美には裕翔と約束をしていることを伝えていたため、きっとランチに出かけたのだろう。そういえば、『じゃあご飯食べてくるねー』と声をかけられたような記憶がある。
「さっき江藤さんとすれ違った時、『集中し過ぎて約束を忘れてる可能性があるから、迎えに行った方がいい』って言われたんだよね。案の定だったよ、さすが江藤さんだ」
「ご、ごめんね!」
裕翔はにっこり微笑むと、再び茉莉花の頭を優しく撫でる。先ほどとは違い、裕翔の手だと思うだけで心があたたかくなる気がした。
こんなことをされたのはいつ以来だろうーー照れ臭さと嬉しさ、そして彼の優しい手にどこかホッと安心感を覚え、涙が出そうになるのを堪えて唇をギュッと結んだ。
「あと三行だけ打ち込んでいい?」
「もちろん。切りのいいところで大丈夫だよ」
「ありがとう。すぐに終わらせるね!」
彼の手にはお弁当が入ったカバンが握られている。しかし裕翔を待たせるわけにはいかないので、自然と茉莉花のスピードも上がっていく。
「終わったー!」
「お疲れ様。じゃあそろそろ行こうか」
茉莉花は頷くと、裕翔と共に休憩室に向かって歩き出した。
茉莉花はパソコンと睨めっこをしていた。正樹との約束があるため、早く仕事を終わらせたいという気持ちと、マイナスの考えを頭から追い出してしまいたい気持ちの狭間にいた茉莉花は、とにかく仕事に集中していたかった。
あと少しーーそう思った時、誰かの手が頭をの上に載せられる感触がする。ぞくぞくっと体に震えが走り、驚いて顔を上げると、そこには茉莉花を見下ろす裕翔の姿があった。
「えっ、風見くん? どうしたの?」
「忘れたの? 今日のお昼は一緒に食べようって約束したじゃない」
そう言われて急いで時計を見ると、すでに昼休憩が始まっている。隣に羽美の姿はなく、オフィスには茉莉花一人になっていた。
朝の時点で羽美には裕翔と約束をしていることを伝えていたため、きっとランチに出かけたのだろう。そういえば、『じゃあご飯食べてくるねー』と声をかけられたような記憶がある。
「さっき江藤さんとすれ違った時、『集中し過ぎて約束を忘れてる可能性があるから、迎えに行った方がいい』って言われたんだよね。案の定だったよ、さすが江藤さんだ」
「ご、ごめんね!」
裕翔はにっこり微笑むと、再び茉莉花の頭を優しく撫でる。先ほどとは違い、裕翔の手だと思うだけで心があたたかくなる気がした。
こんなことをされたのはいつ以来だろうーー照れ臭さと嬉しさ、そして彼の優しい手にどこかホッと安心感を覚え、涙が出そうになるのを堪えて唇をギュッと結んだ。
「あと三行だけ打ち込んでいい?」
「もちろん。切りのいいところで大丈夫だよ」
「ありがとう。すぐに終わらせるね!」
彼の手にはお弁当が入ったカバンが握られている。しかし裕翔を待たせるわけにはいかないので、自然と茉莉花のスピードも上がっていく。
「終わったー!」
「お疲れ様。じゃあそろそろ行こうか」
茉莉花は頷くと、裕翔と共に休憩室に向かって歩き出した。