ご褒美バニーガール
 不意に人の声が聞こえて、隣の部屋からベランダの仕切りを覗き込んでいる人が居た。

「みたかくん……?」

 そこに居たのは、会社の同期の三鷹くんだった。一年前くらいに、季節外れの辞令を受け海外赴任をして、それ以来会ってない人。

 最後に見た時には短髪だったけれど、今は長くなった濡れた髪を上げていた。

 入社してすぐに経営企画室に配属されて、エリートコースに乗ったねなんて噂されていた三鷹くんは、容姿も良いことで知られていた。

 涼やかな目元に爽やかな整った顔立ち、学生時代はバスケをしていたという長身も魅力的だったので、入社時は社内中の女性社員が彼のことを一度は見に行ったという噂もあったくらいだ。

「え? 何……してるの? それに、その格好」

 そんな彼を物凄く驚かせてしまったみたいだ。自分のことだけど、無理もないと思う。こんな格好をした同僚見たら、驚くよね……!

 見られる前ならなんとか回避したと思うけど、既に見られてしまったから、ある種覚悟は決まった。

「三鷹くん。後生だから、私のことを助けてくれない……? そっちの部屋に、匿って欲しいの」

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