癒やしの小児科医と秘密の契約
9.大人の実感
今日、この日が来るまで、ずっと浮足立っている。というか、まだ実感がわかない。
佐々木先生から「デートしよう」と誘ってくれたことを疑うなんて失礼にも程があるけれど、それだけ私には衝撃的なことだった。
でも逆に考えれば、“お試し”で付き合ってるんだから、デートくらいしないとお互いのことがわからないわけで、佐々木先生なりに私との仲を見定めようとしているのだろうか。
そう考えると、これはデートではなくてテストなのかもしれない。浮足立っている場合ではない。
「はぁぁぁ、緊張するぅ」
「何が緊張する?」
「はっ! 先生!」
「おはよう」
「お、おはようございます」
颯爽と現れた佐々木先生は本日も見目麗しく、朝日を背に眩しいくらいの素敵な笑みをくれる。この光をまともにくらうとクラクラして灰になりそう。
「どうしたの?」
「いえ、先生がかっこよすぎて」
「心和も可愛いよ」
さらっとそんな事を言ってのけるので、どうしていいかわからず固まってしまう。もうテストは始まっているのだろうか。だとしたら、先生の言葉に対応できない私は早々に減点だ。100点が取りたい。
「あの、今日はどこに?」
「最近ちょっと忙しかったから、癒しの旅ってところかな」
「いろいろありましたもんね」
「うん、いろいろね」
なんとなく、ナオくんのことを言っているのかなと思った。先生はきっと心が疲れちゃってるから、今日のデートで少しでも癒しを感じてもらえるように立ち振る舞いたい。
「今日はね、きっと心和が喜ぶところに行くよ」
「私が喜ぶところ?」
「着くまでの秘密ね。さあ、乗って」
佐々木先生はスマートに助手席のドアを開けてくれる。急に恋人感が増したような気がして心臓が音を立て始めた。
ゆっくりと車が走り出し、街中を抜けて高速道路に入る。それだけで何だか旅行気分でわくわくする。先生は一体どこに連れて行ってくれるんだろう。
「見ててもいいよ」
「え?」
「俺のこと。心和にドキドキさせられたい」
「えっ、先生まさか、ドSじゃなくてドMだったんですか?」
「あはは。そうかもしれないね」
佐々木先生から「デートしよう」と誘ってくれたことを疑うなんて失礼にも程があるけれど、それだけ私には衝撃的なことだった。
でも逆に考えれば、“お試し”で付き合ってるんだから、デートくらいしないとお互いのことがわからないわけで、佐々木先生なりに私との仲を見定めようとしているのだろうか。
そう考えると、これはデートではなくてテストなのかもしれない。浮足立っている場合ではない。
「はぁぁぁ、緊張するぅ」
「何が緊張する?」
「はっ! 先生!」
「おはよう」
「お、おはようございます」
颯爽と現れた佐々木先生は本日も見目麗しく、朝日を背に眩しいくらいの素敵な笑みをくれる。この光をまともにくらうとクラクラして灰になりそう。
「どうしたの?」
「いえ、先生がかっこよすぎて」
「心和も可愛いよ」
さらっとそんな事を言ってのけるので、どうしていいかわからず固まってしまう。もうテストは始まっているのだろうか。だとしたら、先生の言葉に対応できない私は早々に減点だ。100点が取りたい。
「あの、今日はどこに?」
「最近ちょっと忙しかったから、癒しの旅ってところかな」
「いろいろありましたもんね」
「うん、いろいろね」
なんとなく、ナオくんのことを言っているのかなと思った。先生はきっと心が疲れちゃってるから、今日のデートで少しでも癒しを感じてもらえるように立ち振る舞いたい。
「今日はね、きっと心和が喜ぶところに行くよ」
「私が喜ぶところ?」
「着くまでの秘密ね。さあ、乗って」
佐々木先生はスマートに助手席のドアを開けてくれる。急に恋人感が増したような気がして心臓が音を立て始めた。
ゆっくりと車が走り出し、街中を抜けて高速道路に入る。それだけで何だか旅行気分でわくわくする。先生は一体どこに連れて行ってくれるんだろう。
「見ててもいいよ」
「え?」
「俺のこと。心和にドキドキさせられたい」
「えっ、先生まさか、ドSじゃなくてドMだったんですか?」
「あはは。そうかもしれないね」