《天使さま》から始まった
「あの、すみません」
遠慮がちにかかってきた声に振り向く。
ドキッと鼓動が大きく跳ね上がる。
背中までの長い黒髪を1つで束ねて、黒のハイネックニットに黒い細身のジーンズを履いた二十代前半くらいの男の人が立っていた。
「あっ、すみません。校長室へはどういったらいいのかな?」
佳奈はジッと彼を見据えたまま、答えない。
佳奈?
「あのぉ」
「あっ、ごめんなさい」と一言言って説明すると、彼は頭を下げて廊下に消えて行った。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
佳奈は彼が消えた廊下黙ったまま見つめる。
「佳奈?」
佳奈は私と一緒にいることを忘れたかのようにサッサと上履きに履き替えると歩き出す。
「えっ、ちょ、佳奈、待ってよ!」
慌てて追ってもう一度話しかけるも、佳奈は黙ったまま歩を進めた。
「ひょっとして、さっきの彼、知り合い?」
ビクリと大きく反応して立ち止まる。
振り返ると怖いくらい真面目な表情をして、
「なんでそう思ったの?」
あまりにも真剣な表情と口調に言葉を失う。
佳奈が怖い、なんて初めて思った。
「美織、答えて」
「様子が変だったからそうなのかな、って思って⋯⋯」
張り付いた喉から絞り出すように言葉を紡ぐ。
遠慮がちにかかってきた声に振り向く。
ドキッと鼓動が大きく跳ね上がる。
背中までの長い黒髪を1つで束ねて、黒のハイネックニットに黒い細身のジーンズを履いた二十代前半くらいの男の人が立っていた。
「あっ、すみません。校長室へはどういったらいいのかな?」
佳奈はジッと彼を見据えたまま、答えない。
佳奈?
「あのぉ」
「あっ、ごめんなさい」と一言言って説明すると、彼は頭を下げて廊下に消えて行った。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
佳奈は彼が消えた廊下黙ったまま見つめる。
「佳奈?」
佳奈は私と一緒にいることを忘れたかのようにサッサと上履きに履き替えると歩き出す。
「えっ、ちょ、佳奈、待ってよ!」
慌てて追ってもう一度話しかけるも、佳奈は黙ったまま歩を進めた。
「ひょっとして、さっきの彼、知り合い?」
ビクリと大きく反応して立ち止まる。
振り返ると怖いくらい真面目な表情をして、
「なんでそう思ったの?」
あまりにも真剣な表情と口調に言葉を失う。
佳奈が怖い、なんて初めて思った。
「美織、答えて」
「様子が変だったからそうなのかな、って思って⋯⋯」
張り付いた喉から絞り出すように言葉を紡ぐ。