《天使さま》から始まった
私、今、誰を思った?
もう一度思い返そうとしても、ぷっつりと途絶えてしまって思い出せなかった。
「しかし、起こってしまったことは今更言ったところで始まらない。問題はこれからだ。
この時代には憎しみ、妬みという負の感情が多すぎる。それらが奴らの糧となり日増しに弱まっていく封印に、肉体を持たぬわたしには為す術がない⋯⋯」
手のひらに視線を落として拳を握り締める《天使さま》の自分に対しての怒りと嘆きが伝わってきて胸を締め付ける。
視線を上げて私を見ると、「大丈夫だ」と安心させるように優しく微笑む。
——が、それもすぐに消えた。
「話が逸れてしまったな。前世でのお前を殺した男は、お前が唯一だと認めた男だ」
ズキンと心臓を鋭利な刃物で貫かれたような、そんな激しい痛みが襲って左胸を押さえて蹲る。
イヤ!思イ出シタクナイ!思イ出サセナイデ!!
誰か⋯⋯泣いて⋯⋯る⋯⋯。
「⋯⋯ぉり、美織っ!!」
佳奈の切羽詰まった声と、肩を掴まれて起こされた温かい手の感触に引き戻されていく。
「か⋯⋯な」
焦点が定まると、ツラそうな表情をして覗き込んでいる佳奈の視線とぶつかる。
「何か思い出したの?」
首を横に振る。
涙を拭って笑おうとしたけど、後から後から溢れてきて上手く笑えない。
もう一度思い返そうとしても、ぷっつりと途絶えてしまって思い出せなかった。
「しかし、起こってしまったことは今更言ったところで始まらない。問題はこれからだ。
この時代には憎しみ、妬みという負の感情が多すぎる。それらが奴らの糧となり日増しに弱まっていく封印に、肉体を持たぬわたしには為す術がない⋯⋯」
手のひらに視線を落として拳を握り締める《天使さま》の自分に対しての怒りと嘆きが伝わってきて胸を締め付ける。
視線を上げて私を見ると、「大丈夫だ」と安心させるように優しく微笑む。
——が、それもすぐに消えた。
「話が逸れてしまったな。前世でのお前を殺した男は、お前が唯一だと認めた男だ」
ズキンと心臓を鋭利な刃物で貫かれたような、そんな激しい痛みが襲って左胸を押さえて蹲る。
イヤ!思イ出シタクナイ!思イ出サセナイデ!!
誰か⋯⋯泣いて⋯⋯る⋯⋯。
「⋯⋯ぉり、美織っ!!」
佳奈の切羽詰まった声と、肩を掴まれて起こされた温かい手の感触に引き戻されていく。
「か⋯⋯な」
焦点が定まると、ツラそうな表情をして覗き込んでいる佳奈の視線とぶつかる。
「何か思い出したの?」
首を横に振る。
涙を拭って笑おうとしたけど、後から後から溢れてきて上手く笑えない。