シェアオフィスから、恋がはじまる〜冴えない私と馴染めない彼〜
「あっ、斉木さん……」

 慌てて名前を呼ぶも、彼はスタスタと歩いて行ってしまう。
 その大きな背中を見つめながら、思った。

「私、あの人が好きだ」

 無意識に声に出ていたようで、ハッと斉木さんを見る。
 でも、すでに彼は私の呟きが聞こえないほど遠くにいた。
 クールで無愛想で、だけど、本当はとても優しい斉木さんのことを、もっと知りたい。
 そして……もし願いが叶うのなら、彼にも私を好きになってもらいたかった。
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