シェアオフィスから、恋がはじまる〜冴えない私と馴染めない彼〜
一時間後。私は別のコワーキングスペースで無事に会議を終えて、元いた場所へと戻って来た。
余計なお金が掛かっちゃったけど、今回ばかりは仕方ないよね……。
気分転換に、シェアオフィス内にあるカフェスペースへと向かう。会員は無料で使えて、バリスタが淹れる美味しいコーヒーを飲むことができる。
「あっ、咲希ちゃん。お疲れさま」
カウンター内にいたエプロン姿の女性が、ニコニコと挨拶してくれた。
彼女はバリスタの小川奈美ちゃん。同い年の気安さで、今ではタメ口で雑談する仲だ。
「奈美ちゃんもお疲れさま」
「いつものカフェモカ?」
「うん。チョコソース多めでお願い」
私の注文に、苦笑いする奈美ちゃん。
「おやおや。カフェモカを更に甘くするなんて、本当に疲れてるみたいだね。顔色がちょっとくすんでるよ」
「え、嘘……」
見て分かるほどに疲れてるの、私?
でも、前職のブラック企業の仕事量に比べたら、今の方がまだましなんだけどな。
カフェスペースで一服した私は、仕事に戻ろうとコワーキングスペースへ向かった。
「あっ、あの人……」
応接スペースの片隅で、壁にもたれてスマホで誰かと話している男性。さっき、私を注意した人だ。
う〜ん。言われたことはもっともなんだけど、ちょっと嫌な気分。
気付かれる前に迂回しようとしたその時、
「今からですか? それは急ですね」
男性の口からそんな言葉が出てきて、私は思わず足を止めた。どうやら、先方から無茶な要求をされているみたい。
本当なら、聞き耳を立てるのはマナー違反だけど……。
彼がどんな対応をするのか気になった私は、物陰に隠れて様子を窺った。
余計なお金が掛かっちゃったけど、今回ばかりは仕方ないよね……。
気分転換に、シェアオフィス内にあるカフェスペースへと向かう。会員は無料で使えて、バリスタが淹れる美味しいコーヒーを飲むことができる。
「あっ、咲希ちゃん。お疲れさま」
カウンター内にいたエプロン姿の女性が、ニコニコと挨拶してくれた。
彼女はバリスタの小川奈美ちゃん。同い年の気安さで、今ではタメ口で雑談する仲だ。
「奈美ちゃんもお疲れさま」
「いつものカフェモカ?」
「うん。チョコソース多めでお願い」
私の注文に、苦笑いする奈美ちゃん。
「おやおや。カフェモカを更に甘くするなんて、本当に疲れてるみたいだね。顔色がちょっとくすんでるよ」
「え、嘘……」
見て分かるほどに疲れてるの、私?
でも、前職のブラック企業の仕事量に比べたら、今の方がまだましなんだけどな。
カフェスペースで一服した私は、仕事に戻ろうとコワーキングスペースへ向かった。
「あっ、あの人……」
応接スペースの片隅で、壁にもたれてスマホで誰かと話している男性。さっき、私を注意した人だ。
う〜ん。言われたことはもっともなんだけど、ちょっと嫌な気分。
気付かれる前に迂回しようとしたその時、
「今からですか? それは急ですね」
男性の口からそんな言葉が出てきて、私は思わず足を止めた。どうやら、先方から無茶な要求をされているみたい。
本当なら、聞き耳を立てるのはマナー違反だけど……。
彼がどんな対応をするのか気になった私は、物陰に隠れて様子を窺った。