甘やかな契約婚 〜大富豪の旦那様はみりん屋の娘を溺愛する〜
広大な高層マンションは、ガラス張りの窓から見える東京の夜景は、確かに美しい。だけど、まるで、別の世界に閉じ込められたような孤独感が、胸の奥でじわじわと広がっていく。
朝は私が起きるよりも早く彼が家を出て、夜は私が寝静まる頃にようやく帰宅する。同じ屋根の下に暮らしているはずなのに、彼と顔を合わせるのは一日のうち、ほんの数分。
会話といえば、事務的なやり取りか、必要最低限の言葉だけ。
キッチンでのあの夜以来、食事を共にする機会もなく、彼が料理をしてくれることもなかった。
これは──契約結婚だから。
彼にとって、私は家族ではなく、ただの契約の相手に過ぎない。
必要以上に関わらないのが、彼にとっては当然のことなのかもしれない。
それでも、胸の奥に小さな寂しさが芽生え、静かに根を張っていくのを感じていた。