甘やかな契約婚 〜大富豪の旦那様はみりん屋の娘を溺愛する〜



「……紫月、もしよかったらこれからも、君の料理を食べたい」


 その言葉に、私は小さく微笑んだ。まだ心の奥に不安は残る。
 自分が彼の隣に立つ資格があるのか、でも、彼の想いを知った今、ほんの少し、未来が見えた気がした。


「はい……私も、周寧さんのために、もっと料理を作りたい」

「ありがとう、紫月」


小さな声で呟くと、彼の口元に微かな笑みが浮かんだ。その笑顔は、まるで蔵の裏庭で見た少年の笑顔と重なるようだった。
夜景の光が、私たちの間に新しい架け橋を架けている。そんな気がして、私はそっと目を閉じた。



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