甘やかな契約婚 〜大富豪の旦那様はみりん屋の娘を溺愛する〜
「【みやび】を助けることは決まっていた。だけど、君があの蔵の責任者だとは思っていなくて……君が俺の妻になると知った時、驚いた。だが、同時に、運命だと感じた。あの日の少女が、こうして目の前にいるなんて」
彼の瞳には、初めて見るような深い感情が宿っていた。いつも冷徹で、隙のない彼の仮面が、今、完全に外れているように見える。
私は言葉を失い、ただ彼を見つめるしかなかった。胸の奥で、罪悪感と、驚きと、熱い何かが混ざり合う。
「周寧さん……私、そんなこと、覚えていなくて……」
声が震えた。自分が彼の大切な記憶にいたなんて、想像もしていなかった。自分は“金のための妻”だとばかり思っていたのに、彼の心にはそんな想いがあったなんて知らなかった。いや、知ろうとしなかった。
「いいんだ。君が覚えていなくても、俺には関係ない。君が今、ここにいてくれる。それだけで十分だ」
彼の言葉は静かだったが、その一言一言が私の心に深く刺さる。その瞬間、罪悪感と、胸の奥から溢れる熱い想いが交錯する。
食事が終わり、レストランを出る頃、夜風が私の頬をそっと撫でた。周寧が私の肩に手を置く。
その温もりに、胸が震える。彼の手は大きく、力強かったが、どこか優しく、私を包み込むようだった。