甘やかな契約婚 〜大富豪の旦那様はみりん屋の娘を溺愛する〜
食事が終わって食器を片付けようと立ち上がった時、周寧さんの手が私の手をそっと握った。その温もりに驚き、顔を上げる。すると、彼の瞳が真っ直ぐに私を見つめていた。
いつもは鋭く、どこか遠くを見るようなその瞳に、今はなんだか違い私を見つめている。見つめられ、私の心臓はドクンと大きく高鳴り、胸の奥で何かが解けるような感覚が広がった。
「……紫月」
彼の声は低く、しかしどこまでも優しかった。私の名前を呼ぶその響きは、まるで心の奥底に直接触れるようで、私は息を呑む。胸の鼓動が速くなり、頭の中が真っ白になる。
「君が【みやび】を守ったように、俺も君を守りたい。契約とか、金とか、そんなものじゃない。君があの蔵の裏庭で笑っていた少女だったから、俺は君を選んだ。そして、今、君がここにいるから、俺は君を愛している」
その言葉は、まるで私の心に閉じ込めていた闇を一瞬で照らす光のようだった。
「周寧さん……私、ずっと怖かったんです。あなたに愛される資格なんてないって。でも、私も、あなたと一緒にいたい」
声が震え、言葉が途切れる。涙がこぼれそうになり、慌てて目を伏せた。
だが、彼の手が私の頬にそっと触れ、優しく顔を上げさせた。その指先の温もりは、まるで私の不安や恐れをすべて包み込むようだった。