春の訪れに晴れ模様

半分こ

「は、晴先輩っ!?何でここに……?」

私は至近距離で晴先輩と目が合って大きく心臓が跳ねた。ドクドク、と早い鼓動。その時私は晴先輩への大きな気持ちを自覚した。

私、思った以上に晴先輩のこと意識してた……?

「美春ちゃんが日直だって言ってたから実は教室で待ってたんだ。そろそろかなって思って美春ちゃんのところに行こうと階段登ったら落ちてきた……って感じ」

……本当に奇跡だ。というか待っててくれたの嬉しいな。私は息をついて晴先輩に頭を下げた。

「晴先輩がいてよかった……。ありがとうございました」

すぐに散らばったたくさんの教科書とノートを拾い始めた。

運ぶのが道徳じゃ無かったらこうはならなかっただろう。道徳の教材は先生がいつも預かってるから、運ぶのはいつもしんどい。

「本当に危ないよ。まだ頭の包帯取れてないのに……あのまま落ちてたらどうなってたのか想像もしたくない」

はぁ、とため息をつきながらも私と一緒にノートを回収してくれる。

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