長すぎた春に、別れを告げたら
「フルネームは相良侑史(ゆうし)さん、三十一歳。大学在学中に公認会計士の資格を取得した超エリート。三年前に監査法人を退社して、今は大手の会計事務所に所属。肩書きはさることながら、容姿が抜群にいいの。モデルさんにみたいに背が高くて、目、鼻、口のパーツが小さな顔に完璧に配置されてるんだよ!」

「へえ……」

私はあいまいな表情を浮かべた。

希帆さんは普段、男なんて人生に必要ないと豪語しているけれど、イケメンの前だけは乙女になる。

「希帆さん、もうそんなに情報を掴んでるんですね! 相良さんは独身ですか?」

雫ちゃんの質問に、希帆さんがうなずく。

「独身! ていうか、数々の顧問先で『誰にも落ちない相良先生』って言われてるんだって。にわかファンみたいな女性が苦手で、どんなにきれいな人でも眉ひとつ動かさないとか」

「クール~!」

身悶える雫ちゃんは、相良さんをアイドルのようにもてはやす。雫ちゃんには彼氏がいるけれど、それとこれとは別のようだ。

「そのノリが相良さんに嫌われるのよ。でもあたしは彼女になりたいなんて思ってないし、少しでいいからお近づきになりたいだけ。目の保養として」

「私もです!」

希帆さんと雫ちゃんは意見を一致させてさらに盛り上がる。

私はふたりの勢いに気圧されそうになった。
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