長すぎた春に、別れを告げたら
心臓が早鐘を打って、私は立ち尽くした。

相良さんには彼女がいたのだ。私にはいないと言ったのに。

「浜名さん、先に帰っておいてください。こいつは――」

「わ、わかりました。それじゃあ私はここでっ」

彼の言葉を遮って、逃げるようにその場を離れた。

どうして彼は私に嘘をついたのだろう。

私が彼との同居を気兼ねなく受け入れられるように? いや、彼女がいないと言われたのはもっと前だった。

動揺して頭がうまく働かない。

さとみさんは私が居候しているのを知っているのだろうか。

先に帰っておいてくださいと言われたけれど、彼のマンションにいていいの? いいはずがない。

深い仲だと見て取れた相良さんとさとみさんの姿を思い浮かべると、胸が締めつけられた。

……どうしよう。

私、相良さんが好きだ。

まさかこんな最悪のタイミングで気づくなんて。


< 41 / 54 >

この作品をシェア

pagetop