長すぎた春に、別れを告げたら
「恩なんて覚えてなくていいぞ、メル」

侑史さんはさらっと口にして、私とダイニングで向き合った。そう言える彼を、私は尊敬する。

彼を好きだと毎日のように思えるのが幸せだった。

「いただきまー……え?」

ナイフとフォークを持ったとき、左手を二度見する。

寝る前はたしかになかった。

いったいいつから?

薬指にキラキラ輝くダイヤモンドの指輪がついている。

「ようやく気づいたか。鈍感」

侑史さんは悪戯っぽく笑う。

私は驚きすぎて声が出ない。

「顔を洗っても気づかないからひやひやした」

私が眠っているときに指輪を嵌めてくれたようだ。

薬指に釘付けになっていると、テーブルの上で彼が手を重ねてくる。

「結婚しよう、萌歌。一生大事にする」

プロポーズは突然で、想像すらしていなかった。

このままずっと一緒にいられたらいいなと思っていたけれど、侑史さんは私との将来を考えてくれていたのだ。

彼の愛に包まれて、胸がいっぱいになる。

「うん!」

返事をすると、彼は幸せそうな顔をする。

メルくんがかわいらしい声でにゃ~んと鳴いて、私たちを祝福してくれた。















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