皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
「それより、今日は俺のせいで苦手な映画に付き合わせちゃったね。ごめんね」

 幸崎さんは、申し訳なさそうに眉を下げた。

「いえ、大丈夫です。雪が観たいって言ってた映画だったので」
「うん、でも、怖い思いをさせたのは事実だ。だから……」

 そう言って、幸崎さんは私の目をまっすぐに見つめた。

「今度はリベンジに佐倉さんが観たい映画、一緒に見に行こうか」

 その言葉に、私の心臓が大きく跳ねた。
 改めて観たい映画を観るという名目だが、これではまるでデートの誘いではないか。

「え、でも、幸崎さんのお時間は大丈夫ですか……?」
「もちろん。佐倉さんさえよければ、いつでも」

 彼の優しい微笑みに、私は何も言えなくなってしまった。映画館の暗闇で握ってくれた手の温もりが再び蘇ってくる。これは彼なりの気遣いだ。優しさであって、他意はない。いくらそう思っても顔がぐんぐん熱くなる。

「どうかな……?」

 小首を傾げる彼の様子に、私はただ小さく頷くしかなかった。

「はい、ぜひ……!」
 
 次の約束が決まった瞬間だった。

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