皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
それから暫くした金曜日、私は会社を休んでいた。
発熱をして三日目の今日は、本当ならば幸崎さんとの映画の日。約束を心待ちにしていただけに、体調を崩してしまったことが悔しくてたまらなかった。
一日中ベッドの中でうつらうつらと過ごし、ようやく熱も落ち着いてきた夜。ぼんやりと天井を眺めていると、玄関のチャイムが鳴った。
宅配便だろうか、それとも朝「見舞いに行く」と連絡をくれていた雪だろうか。重い体を起こしてドアを開けると、そこに立っていたのはまさかの人物。スーツを着こなす長身の男性、幸崎さんだった。
「佐倉さん、大丈夫?城山さんから頼まれて、少しだけど差し入れ持ってきたよ」
心配そうな顔で私を見つめる幸崎さんの手には、スーパーの袋が提げられていた。
「とは言ってもゼリーとかレトルトのお粥とか、大したものはないんだけど」
袋をごそごそ探る様子に、申し訳ないやら嬉しいやらで、胸がキュンと締め付けられる。
「雪がまた無理を言ったんですね?すみません。……でも、わざわざありがとうございました」
「いやいや。城山さん、急に残業になったって慌てて営業に駆け込んできてね。俺もこっち方面に用事があったから、ついでに寄ってみたんだよ」
ついでとは言え、気にかけてもらえるのはやっぱり嬉しい。人恋しかったのだろうか、声が詰まりそうになったその時だった。幸崎さんの背後から、聞き覚えのある甘ったるい声が割り込んできた。
「ほんと、心配したんだからぁ!」
ひょこりと顔を出したのは、橘さくらだった。彼女は幸崎さんの腕にぴったり寄り添い、言葉とは裏腹にこちらを睨みつけている。思ってもみない展開に、私は驚きのあまり言葉を失ってしまった。
「橘さんまで……ありがとうございます」
なんとかお礼を口にすると、橘さくらは得意そうに胸を張った。
発熱をして三日目の今日は、本当ならば幸崎さんとの映画の日。約束を心待ちにしていただけに、体調を崩してしまったことが悔しくてたまらなかった。
一日中ベッドの中でうつらうつらと過ごし、ようやく熱も落ち着いてきた夜。ぼんやりと天井を眺めていると、玄関のチャイムが鳴った。
宅配便だろうか、それとも朝「見舞いに行く」と連絡をくれていた雪だろうか。重い体を起こしてドアを開けると、そこに立っていたのはまさかの人物。スーツを着こなす長身の男性、幸崎さんだった。
「佐倉さん、大丈夫?城山さんから頼まれて、少しだけど差し入れ持ってきたよ」
心配そうな顔で私を見つめる幸崎さんの手には、スーパーの袋が提げられていた。
「とは言ってもゼリーとかレトルトのお粥とか、大したものはないんだけど」
袋をごそごそ探る様子に、申し訳ないやら嬉しいやらで、胸がキュンと締め付けられる。
「雪がまた無理を言ったんですね?すみません。……でも、わざわざありがとうございました」
「いやいや。城山さん、急に残業になったって慌てて営業に駆け込んできてね。俺もこっち方面に用事があったから、ついでに寄ってみたんだよ」
ついでとは言え、気にかけてもらえるのはやっぱり嬉しい。人恋しかったのだろうか、声が詰まりそうになったその時だった。幸崎さんの背後から、聞き覚えのある甘ったるい声が割り込んできた。
「ほんと、心配したんだからぁ!」
ひょこりと顔を出したのは、橘さくらだった。彼女は幸崎さんの腕にぴったり寄り添い、言葉とは裏腹にこちらを睨みつけている。思ってもみない展開に、私は驚きのあまり言葉を失ってしまった。
「橘さんまで……ありがとうございます」
なんとかお礼を口にすると、橘さくらは得意そうに胸を張った。