皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
 次の昼休み、私は雪を社員食堂に誘い、これまでの出来事を改めて話すことにした。
 幸崎さんが家にお見舞いに来てくれた日のこと、橘さくらが一緒に来たこと、そしてその後の出来事も……。

「えー、なにそれ!超エモい展開なんだけど!」

 話を全て聞き終えた雪は、両手を叩いて大興奮している。

「『俺の事好きなんじゃないの?』なんて一度でいいから言われてみたいわーっ。しかも相手はあのイケメンでシゴデキの幸崎さんだよ?!もうさ、それって美和のこと意識してるに決まってるよね!!」

 雪のはしゃぎように、私の心も少しだけ浮足立つ。

「でも、お見舞いにまでくっついて来た橘の事は気になるよね」
「うん、これから幸崎さんとデートだとかって嘘までついて、何がしたいんだろ……」
「あいつってプライド高いから、ハイスペ男子ばっかり狙ってそうだよね。でも幸崎さんは橘のこと相手にしてなさそうだから心配しなくたっていいって!」

 断言する雪は私を安心させようとバシバシ背中を叩く。
 
「べ、別に心配してるわけじゃないけど……」
「はいはい。そういう事にしておきますかねぇ」

 モゴモゴ口ごもる私に、雪はニヤニヤと意味ありげな視線を送る。
 そんなやりとりがあった社員食堂からの帰り、化粧室の前を通りかかるとその中から、楽しげな声が聞こえてきた。
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