冷徹御曹司は誤解を愛に変えるまで離さない

エピローグ 未来へ

 披露宴当日。
 煌びやかな会場に、柔らかな照明と花の香りが満ちていた。
 正面に並んだ私と颯真に、祝福の拍手が降り注ぐ。

「本日は私たちのためにお集まりいただき、ありがとうございます」
 颯真がマイクを持ち、穏やかな笑みを浮かべる。
 その笑顔は、冷徹と呼ばれてきた彼とは別人のようだった。

「……僕は、今日ここで改めて宣言します。美玲は、僕の唯一無二の人です。これから先、一度も手放さない」

 会場がどよめき、拍手が広がる。
 私は、思わず笑ってしまった。
 あんなふうに公の場で言えるなんて──少し前の彼なら考えられなかった。

「……聞きました? もう逃げられないわね」

 小声で囁くと、颯真は私の耳元で低く答える。

「逃がす気なんて、最初からない」

 その声音に、胸が温かく満たされる。



 披露宴が終わり、控室で二人きりになった。
 彼は私の手を取り、指先に唇を落とす。

「これからも、ずっと隣にいてくれ」

「ええ……こちらこそ」

 窓の外には、夕陽が差し込み、会場の花々を黄金色に染めていた。
 長いすれ違いと拗らせの日々を越え、今ここに立っている。
 ──これからは、もう迷わない。
 私の未来は、この人と共にある。

 颯真が優しく微笑み、そっと私の肩を抱いた。
 そして、二人は同じ方向を見つめて歩き出した。
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