猫のキミと暮らせば
第2部 そして家族へ
プロローグ
お釈迦様の御前に、一人の女性の魂が、今日も願い事をするためにやって来た。
「我が君の前世は、身分に縛られ、それがもとで命を絶たねばならない、つらい最期でありました。
そのためか、友であるクロのように自由に生きたいと、猫として生を受け、幸せに暮らしていることと思います。」
女性のしぐさは柔らかく、安堵しているように思えた。
「しかしそれでは、来世での再会を約束したわたくしは、このままでは添い遂げることもなく、すれ違ってしまうことでしょう……。」
女性の魂は、お釈迦様にすがり、こう願いました。
「もし叶うのなら、小夜は猫として生まれとうございます。
たとえこの記憶を失い、声も届かず、愛しき君に名を呼ばれぬ存在となろうとも──
我が君との再会を夢見て、生きていとうございます。」
お釈迦様が、ふっと微笑んだかのように見えた。
だがその眼差しは、慈悲と同時に、何かを量るようでもあった。