街角の契りは、永遠の愛に

1章 街角の出会い

その日、私は途方に暮れていた。たった一人の家族である母が床に伏し、荒い息をしている。

「お母さん、しっかりして……」

「……ああ、マリエル。ごめんね、心配ばかりかけて。」

母は優しく微笑もうとするけれど、その顔色は土のように青ざめ、額には汗がにじんでいる。

このままでは命の灯が消えてしまうかもしれない。

薬が要る――でも、その薬を買うお金がない。

机の上に並べた銅貨を数える。

ほんのわずか、明日の糧を得るにも足りない額。

こんな小銭で、母を救うことができるはずもなかった。

「どうすればいいの……」

握りしめた拳が震える。

目の奥が熱くなり、涙が溢れそうになる。

けれど泣いても何も変わらない。

私は決意を固めて立ち上がった。

せめて、望みだけでも繋ぎたい。

母の枕元を後にして、上着を羽織る。冷たい夜風が頬を刺した。

足早に石畳を進みながら、胸の奥で必死に祈る。

――どうか、この小銭で薬が買えますように。
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop