100日後、クラスの王子に告白されるらしい

9月30日、火曜日

 もう今週末は文化祭!

 ということで学校内は浮かれた雰囲気で、今日も午後はまるまる文化祭の準備だ。

 私は受付周りの小道具担当で、作ったものの一覧を確認している。


「うん、大丈夫かな」


「あ、柊、手え空いてたらこっち手伝って」


「いいよー」


 脅かす用の小道具の手伝いに行く。

 包帯に赤い絵の具をつけたり、百均で買ってきたお面を汚したり。

 聞き慣れた足音がしたから、できたばかりの血だらけの般若のお面を顔に当てた。


「柊、何してんの? あと70日……」


「なぁにぃ~」


「うっわっ!?」


 一ノ瀬が目を丸くして飛び退いた。


「あはは、ウケる」


「ひ、柊!?」


 お面を外すと、一ノ瀬が隣に座って、私の顔とお面を見比べた。


「何それ、めちゃくちゃ驚いたけど!?」


「よくできてるでしょ。百均のお面を絵の具でそれっぽく色つけただけなんだけどね」


「柊、起用だよね」


「や……それは、一ノ瀬が不器用なんじゃないかな……」


「い、言うなよ……」


 もう何個かお面を作る。宣伝のときにこれを頭につけて回ってもいいかも。


「あのさ、回るときに、このお面頭につけといてくれない?」


 できたやつを、一ノ瀬の頭に乗せる。


 一ノ瀬は目を丸くして、一瞬で顔を真っ赤にした。


「えっ、あ……ごめん、近かった……」


「……いいよ、柊なら。どれだけ近くても」


 お面を持っていた手に、一ノ瀬の手が重なる。

 その手は、熱くて汗ばんでて、心臓が、わけわかんないくらい大きな音を立てた。
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