100日後、クラスの王子に告白されるらしい

11月03日、月曜日

「柊、おはよ。あと36日だし、そろそろなびいてくれない?」

「何言ってるのさ」


 朝の部活が終わって、昇降口で靴を履き替えてたら、一ノ瀬が走ってきた。

 後ろの方に双葉くんやメイサちゃんもいる。


「昨日、勝てたんだよ。土曜日の準決勝、頑張るからさ」

「……うん、頑張って」

「あのさ……昨日の用事って、何だったの?」

「法事だよ。おじいちゃんの」

「あっ、そうなんだ」

「うん、一ノ瀬から連絡もらった時にちょうど法事が終わって移動になってたから、返事できなかったの。ごめんね」


 一ノ瀬の不安そうな顔が、一瞬でぱっと明るくなった。

 今の私には、それが辛い。


「あ、私、今日日直だから職員室行ってくるね」

「俺もだよ、隣の席なんだから」

「……一ノ瀬は昨日の試合で疲れてるでしょ。私がやるから、先に教室行ってて」

「ちょ、柊……?」


 早足で一ノ瀬から離れる。

 あーあ、やだなあ。

 わかってたのに。

 一ノ瀬にはメイサちゃんいるじゃん。

 ……なんで、好きになってからそんなこと思い知らせてくるの。

 もう、ヤダ。
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