100日後、クラスの王子に告白されるらしい

11月16日、日曜日

『いや、めっちゃ怒られたよ……!』

「……そうだろうね」


 昼過ぎ、颯くんから電話がかかってきた。

 昨日の夜にサッカー部のグルチャで、颯くんとメイサちゃんが従姉弟なのを、みんなが知ってるか確認したみたい。

 ……で、誰も知らなかったと教えてくれた。


『いやもう、双葉からすっげえ怒られてさ。三枝も……。莉子にあれこれ言ってたのは嫌がられて当然だし、双葉が何度か注意してくれてたのに聞いてなかったのかって』

「あはは」

『笑い事じゃないよ……。でも、一番嫌だったのは莉子だろ。双葉のほうが莉子の気持ちわかってたっていうのは気に入らないけど。あと23日、俺も莉子のこと、ちゃんと知りたいから教えてほしい』

「うん。ちゃんと話す。もう我慢しない」

『莉子』

「な、なに?」

『呼びたかっただけ』

「……もー……」


 そのあと少し話して電話を切った。

 颯くんとメイサちゃんが従姉弟だってことは、私も昨日の夜に結に言ってある。


『あ、マジか。……にしても、ベタベタしすぎだとは思うけど……』

「そだねえ。私、年の近い従姉妹っていないから距離感わかんないんだよね」

『私は一個下の従姉妹いるけど、家が遠くてそんなに会わないからなあ。でも、これでうまくいけといいね』

「……そうだね」

『すっかりほだされてんじゃん』

「……そうかも」


 結にからかわれたけど、そんなに嫌じゃなかった。

 23日後を私も楽しみにしているから。

 スマホを持つ手を、そっと逸らした。

 手首には、昨日颯くんがつけた痕が残っている。
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