100日後、クラスの王子に告白されるらしい
11月29日、土曜日
「あと10日! 一緒に頑張ろうな!」
颯くんが大きく手を振って、舞台の袖へと向かって行った。
私も反対側の袖に向かう。
シンデレラのボロ服に着替え、1年6組の合唱が終わるのをじっと待った。
「莉子ち、顔色悪いよ」
義理の姉役の結が私を覗き込む。
「緊張する……」
「だーいじょうぶだって! リハばっちりだったじゃん」
「そうだけど……」
そわそわしていたら、目の前に誰か来た。
顔を上げたら、メイサちゃんだった。
「なら、あたしと代わってよ」
「え……?」
「そんな弱気で、やる気もないなら……颯を返してよ」
「あんた、何言ってんの?」
結が唸るみたいに言った。
メイサちゃんは泣きそうな顔で私を睨んでいる。
だから私は、真っ直ぐにメイサちゃんを見つめた。
「返さないよ」
「……なんで」
「私も、颯くんのこと好きだから。誰にも譲らない」
「っ……、ムカつく。ぽっと出のくせに」
「嫌われてもいいよ。私だって、メイサちゃんのこと嫌いだから」
「……そっか。気が合うね」
メイサちゃんは少し悲しそうに笑って、袖から出ていった。
「何しにきたの?」
「さあ、なんだろうね」
本当のところはわからない。でも、背中を押しに来てくれたのかもしれない。
1年生がはけた。
私の出番だ。
颯くんが大きく手を振って、舞台の袖へと向かって行った。
私も反対側の袖に向かう。
シンデレラのボロ服に着替え、1年6組の合唱が終わるのをじっと待った。
「莉子ち、顔色悪いよ」
義理の姉役の結が私を覗き込む。
「緊張する……」
「だーいじょうぶだって! リハばっちりだったじゃん」
「そうだけど……」
そわそわしていたら、目の前に誰か来た。
顔を上げたら、メイサちゃんだった。
「なら、あたしと代わってよ」
「え……?」
「そんな弱気で、やる気もないなら……颯を返してよ」
「あんた、何言ってんの?」
結が唸るみたいに言った。
メイサちゃんは泣きそうな顔で私を睨んでいる。
だから私は、真っ直ぐにメイサちゃんを見つめた。
「返さないよ」
「……なんで」
「私も、颯くんのこと好きだから。誰にも譲らない」
「っ……、ムカつく。ぽっと出のくせに」
「嫌われてもいいよ。私だって、メイサちゃんのこと嫌いだから」
「……そっか。気が合うね」
メイサちゃんは少し悲しそうに笑って、袖から出ていった。
「何しにきたの?」
「さあ、なんだろうね」
本当のところはわからない。でも、背中を押しに来てくれたのかもしれない。
1年生がはけた。
私の出番だ。