100日後、クラスの王子に告白されるらしい

12月05日、金曜日

 今日は朝からずっと雨だから、私も颯くんも部活は休み。

 ホームルームが終わって、並んで傘をさして学校を出た。


「寒い……雪になったりするかな」


 颯くんはマフラーをぐるぐるに巻いて震えている。

 傘を差してるから手もつなげない。


「ならないんじゃないかな。そうなったら、楽しいけどね」

「あのさ、寒いから傘、一緒に入っていい?」

「いいよ」


 私の傘を閉じて颯くんの傘に入る。

 ぴったりくっつくと、そこだけ温かくて、すごく嬉しかった。

 お揃いのアクキーがカチャカチャ揺れている。


「あのさ」

「あのね」


 同時に顔を向けてしまって、すごく、近い。

 言いたいな、好きって。

 きっと、颯くんも同じだと思うんだけど、どうだろう?


「……ごめん、莉子からどうぞ」

「あ、ありがと。あのね、日曜日にサッカーを教えてほしくて」

「えっ、いいけど……莉子、球技苦手じゃなかった?」

「嫌いだけど。颯くんはさ、私の好きな本読んでくれるでしょ。だから、私も颯くんの好きな物知りたくて」


 颯くんが目を丸くして、そのあとちょっと泣きそうな顔になった。


「うん、わかった。近くのフットサル場行こう。あーあとさ、明日って、莉子は部活ある?」

「ううん。この雨だから、明日はないよ」

「俺もさ、グラウンドがずぶ濡れで、たぶん休みなんだ。だからさ、一緒に映画観に行かない?」

「行きたい! あとね、映画館の近くでイルミネーションやってるらしいから、それも」

「見に行こう」


 颯くんは少し前を見てから、また私を見た。


「莉子としたいこと、たくさんあるんだ。……あと4日間も、これからも」


 返事の代わりに、頭をそって颯くんの肩にもたれかける。

 伝わるかな、どうかな。

 答え合わせは4日後だ。
< 96 / 98 >

この作品をシェア

pagetop