この恋、予定外すぎて困ってます



***



次の日の朝。
目を覚ますと、家の中は静かだった。
リビングに行ってみても、お母さんたちの姿はない。


本当に、早く出ていったみたい。
旅行モード、全開だったもんね。


私は洗面所に向かって、歯ブラシを手に取る。
鏡に映る自分の顔は、ちょっと寝ぼけてる。


シャカシャカと歯を磨いていると、後ろから足音。



「おはよー…」



眠そうな声とともに、先輩が目をこすりながら洗面所に入ってきた。
髪はちょっとだけ寝ぐせ。パジャマ姿で、ぼんやりしてる。

そのまま隣に立って、歯ブラシを手に取る。
シャカシャカ…ふたり並んで、鏡の中に並ぶ姿。


なんだか…同棲してるみたい。


鏡越しに目が合って、先輩がふわっと笑う。
その笑顔に、心臓がドクンと跳ねた。


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