響け!色彩のフォルテッシモ
(リズじゃないか……)

本棚をリズは見つめていた。気になる本でもあるのだろうか。レオンハルトは声をかけようとした。しかし、リズの表情を見て足が止まる。

「お父さん……お母さん……」

リズはそう呟きながら涙を流していた。頰を伝っていく涙が、夕焼けに照らされている。その煌めきは、まるで宝石のように美しかった。

(綺麗だ。でも、嫌だ)

リズの悲しげな表情を、レオンハルトは見たくないと心の底から思った。そのため、わざと足音を立ててリズに近付く。リズは驚いた顔を見せ、慌てて涙を拭っていた。

「今日は休みの日だろう?どうして事務所に来たんだい?」

レオンハルトの問いに対し、リズは「えっと……その……」と目をあちこちに動かす。手も落ち着きなく動いていた。そんなリズの頭にレオンハルトは手を置く。

「別に怒っているわけじゃないんだ。……そうだ。お茶を淹れよう」

レオンハルトは給湯室へと向かう。棚には、様々な種類の茶葉の入った瓶やティーカップなどが並んでいる。レオンハルトは、アールグレイの茶葉をティーポットに嫌だ。
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