寝ても覚めてもキミが好き
カタオモイ
私には十二年間ずっと片想いしている幼なじみがいる。


(しゅう)ちゃん、大好き!」

「俺は嫌いだ!近寄んじゃねぇ!」


廊下の真ん中で後ろから抱きつく私の顔を片手で嫌そうにしかめながら掴んで押し戻してくるのが、私の幼なじみ、葛城周平(かつらぎしゅうへい)

地毛の焦茶色の髪の毛はふんわりと緩くセットされていて、奥二重の瞳は笑うと細められるのが数ある好きポイントのうちの一つだ。


「夏休みなのに補習なんて憂鬱だね。でも周ちゃんがいるなら私、頑張れそう!補習まで被るなんて運命かな!?」

「だから抱きつくなっての!ただでさえ暑いのに余計暑いだろうが!」


周ちゃんは私の腕からするりと抜け出すと、スタスタと教室の中に入っていった。

すぐにクラスメイトの男子たちが周ちゃんを囲んでいき、あっという間に輪の中の中心の人となっていた。

周ちゃんは頭もよくスポーツも得意で、明るくて人懐っこい性格からいつもみんなの中心にいる。

そんな周ちゃんとは幼稚園から高校一年生の今までずっと同じ学校同じクラスで、私は現在進行系で幼稚園の頃からかれこれ十二年近く片想いをし続けている。

初告白は四歳の時であっさりと振られ、今のところ実る可能性は一ミリもない。


「本当、あんたは何度振られても懲りないねー」


自席で周ちゃんが輪の中心で笑っている様子をうっとりと眺めていると、後ろからべしっと頭を叩かれた。
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