桜吹雪が舞う夜に
刃 Hinata Side.
桜の言葉は、刃のように胸に突き刺さった。
「……私は。理緒と、もっと一緒に居たかった。そう、今でも思ってます」
ただの事実を口にしただけだ。
俺を責める響きなんて、きっとひとつもなかった。
それでも、耳に届いた瞬間から、どうしても「お前のせいだ」と言われている気分になってしまう。
ーー俺がもっと早く気づいていれば。
ーー俺が別の手を選んでいれば。
心の中で何度も繰り返した後悔が、改めて蘇る。
(……恨んでくれていい、なんて言ったのは俺だろう)
なのに、いざそういう言葉を聞かされると、全てを抱きとめるだけの覚悟が揺らぐ。
拳を膝の上で固く握りしめた。
顔を上げることができない。
どんな返事をしても、ただ言い訳にしかならない気がして。
沈黙だけが、重く二人の間に落ちていた。