桜吹雪が舞う夜に
「ひ……日向さん、これ……や、だ……頭……おかしく、なる……」
桜の声は涙混じりに震えていた。
拒むような言葉を口にしながらも、掴む腕は決して離さない。
背中に食い込む指先、震える脚の力――そのどれもが必死に繋がろうとする意志を示していた。
「……それでいい。全部、俺に委ねろ」
耳元で囁くと、彼女は息を呑み、甘い声を零す。
やがて桜の表情は苦悶だけでなく、熱に揺らぐ色を帯びていく。
「や……ぁ……もう……っ……これ……わたし、へん……にな、る……」
その震える言葉に、胸が焼けるように熱くなる。
「……壊れるくらいでいい。今は、俺を信じて」
重ねた唇が互いの乱れる呼吸を奪い、熱が溶け合う。
気づけば、彼女の身体は自分に縋りつき、逃げることなく応えていた。
高く漏れる声と同時に、桜の全身が小さく震え、快感の波に呑み込まれていくのが伝わった。
その瞬間、俺自身も抑えきれず、白く焼き尽くされるような感覚に飲み込まれていく。
震える身体を抱きしめ合いながら、ただ互いの存在を確かめるように――
二人はしばらく離れることができなかった。