桜吹雪が舞う夜に
そうだ。でも、桜にも連絡、しとかないと。
そう思って再びアプリを立ち上げる。
『桜。友達に連絡しといた。バイトまだ募集してるって。直近で夜空いてる日ある?』
しばらくして、画面に小さな吹き出しが現れる。
『日向さんに合わせます!』
短くても、その言葉には彼女の真剣さと、信頼が滲んでいた。
思わず頬が緩み、すぐに指を動かす。
『じゃあ、今度の金曜日に、新宿西口。夜7時で大丈夫か?』
『はい!大丈夫です!』
うさぎの可愛いスタンプと一緒に送られてきた返事は、少し浮き立つような雰囲気を帯びていた。
画面を見つめながら、ふと胸の奥に温かなものが広がった。
彼女に新しい場所を紹介できることが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。
……金曜。楽しみだな。そう思いながら、静かに瞼を閉じた。