牧師の息子のエリート医師は、歳下医学生に理性が効かないほど夢中です。(旧題:桜吹雪が舞う夜に)
「でも羨ましいよ。
君は欲望を全部“彼女ひとり”に向けてるんだから。
器用に遊ぶより、ずっと贅沢で健全だ」
その言葉に胸がざわつく。
挑発なのか、本心なのか、判別できない。
……もう疲れた。
「じゃあ、せめて今日は早く帰らせてください」
ぼそりと呟いた俺に、向坂先生はにこりと笑う。
「いいよ。でもその代わり、明日までに学会の抄録の修正版出してね」
結局逃げ場なんてない。
深く息を吐きながら、俺は資料を抱えて席を立った。