牧師の息子のエリート医師は、歳下医学生に理性が効かないほど夢中です。(旧題:桜吹雪が舞う夜に)


胸が痛くて、思わず言葉があふれた。
「……じゃあ、私も」

彼がゆっくりと顔を上げる。
真剣な瞳をまっすぐに見返して、私は震える声で続けた。

「私も、日向さんを守りたいです」

その言葉に、彼は目を瞬かせて息を呑んだ。
「桜……」

「守られるだけじゃなくて、私も隣に立ちたい。
 ……日向さんが、私を失うのが怖いように。私だって、日向さんを失うのが怖いんです」

涙で視界が滲んでいく。
それでも、必死に言葉を続けた。
「だから……一人で抱え込まないでください。
 私も一緒に、不安も後悔も、全部受け止めたい」

日向さんの瞳が揺れ、やがて小さく笑みが浮かんだ。
その笑みはどこか壊れそうに弱く、それでも少しだけ救われたように見えた。


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