桜吹雪が舞う夜に
そっと側に置かれていたペンを手に取った。
彼の筆跡を邪魔しないよう、空いた余白に小さく文字を綴る。
――私もです。全てあなたと会うためだったのなら、どんな痛みも受け入れられる。
書き終えると、手が震えていた。
彼に見つかったらきっと驚かれるだろう。
でも、この気持ちを伝えずにはいられなかった。
そっと聖書を閉じ、眠る彼を見つめる。
「……おやすみなさい、日向さん」
小さな声で呟いて、彼の背中にかけたブランケットをもう一度直した。